S2002
2003.5.25
種類 発振。増幅。変調用空冷ビーム管管
解説 6146=S2001なら40KG6A=S2002という関係にあります。普及の度合いはS2001ほどではなかったと推測されます。

S2002は松下が1975年に開発したアマチュア無線(SSB)用の送信管。送信管とはいうが業務用ではなくアマチュア用にコストの面で有利な民生品種規格(規格がラフ)の球として開発した模様。TVの水平偏向出力管が基になっているといわれているが,実物を見ると電極構造は同社が主力製品として1968年頃から製造していた大型カラーTVPL509/40KG6Aそのもの。ただし,SSB機の日本標準となっていた6JS6A系との互換性を持たせるため,ガラス管長をやや短くし,ベースをマグノーバルからコンパクトロンに変更し,ピン配置も同じにしている。縦寸が短いので大型のスクリーン・グリッド・フィンは削除し,またトップ・キャップの引き出し方はS20016146と同じにしている。電気的特性は,PL509/40KG6Aがヒータ12Wに対し,6.3x2=12.6Wとほぼ同じ。0.6Wの差は欧州系のヒータ効率の違いで説明できる。6JS6A系に比べると10%程度小さい。ガラス容器が小型化し,スクリーン・放熱フィンも無いのでプレート損失がやや小さくなった。Eb-Ib曲線などがどう変わったかは不明。しかし,電気的特性も互換性があるという。

何故,1975年という遅い段階でいまさらのように新型管を開発したのか?国内では1972年からTVは全面的にトランジスタに切り替えられ,それまで国内でアマチュア無線用に6JS6A/C系を供給していた管球会社(東芝,NECなど)は輸出用のみの製造を行ってきたが,1975年頃には製造の打ち切りを決め,国内需要は最後の注文生産の段階だったらしい。松下はS2001をトリオ(現ケンウッド)のために開発し,長年にわたり供給してきた実績を持つし,またその頃アマチュア無線の自社ブランド機器の販売を行っていたが,TV用水平偏向出力管を好んで用いた八重洲無線は松下の球が欧州系ということもあり採用していなかった。そこで,最後の仕事を作る(管球部門の延命を図る?)ために6JS6系と互換のある球を製造し販売することにしたと想像できる。あくまでも想像である。しかし,八重洲無線は東芝が製造を打ち切った後,NEC製に切り替え,最後に送信管に切り替えた。結局,S2002は需要が無く,松下の自社ブランドのトランシーバーRJX1011に採用された(あるいは消化試合)に留まった。

サンプル S2002 6T 6T 松下

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