8045G
2004.11.20

種類
メモ

8045G1974年にLuxNECと共同で開発した最後のオーディオ用3極出力管。プレート最大損失を大きくするためにプレート材料は4-5重被覆材が使用されている。通常の民生管はアルミ被覆鉄を使用している(アルミ-鉄,電極内面にも施すとアルミ--アルミの3重積層合板)が,1960年代にはさらに過大損失用にアルミ-鉄の内面に銅板を施したものが広く使用されるようになっていた。8045G5重積層金属板(アルミ----アルミ)を使用したとある。また,当時の技術としてシャドーグリッドが流行し,水平偏向出力管もスクリーン・グリッド電流低減が工夫されていたが,8045Gも3接時のスクリーン電流を低減するために,目合わせを調整しスクリーン・グリッド巻き線の径を細線化して電流を低減したとある。

国内で調達の難しい米国WE300Bクラスの球に代る近代管として,NEC(新日電)LUXが共同開発した日本独自の球。シングルで10W,プッシュ・プルで60Wを越える大出力3極管。電極構造は,6/50C-A10と同様,完全な5極ビーム構造を有する内部接続3極管であり,原型は最終期の米国系水平偏向出力管と考えられる。特に,高電力損失が維持できるようにプレート電極材料に45重被覆材を用いたのが特徴。ヒータ電力(6.3V,2.5A)が同じ米国水平偏向出力管には,初期の頃には6CB5A(880V/26W,8.8mA/V,μ3.8),6DQ5(900V/24W,10.5mA/V,μ3.3)があり,中期には6JE6(900V/30W,10.5mA/V,μ3.3)が知られている。これらは後期に発展し,6KD6(6.3V,2.85A,900V/33W,14mA/V,μ4.0),6LQ6(990/30W,9.6mA/V,μ3),36MC6(=36V,0.45A,990V/33W,9.6mA/V,-),さらに最終期の1970年代初頭には40Wクラスのものが開発されている。8045Gはこれらを原型にオーディオ用に直線性を改善し,また外囲器にマニア好みのGTベースを用いて,大出力管を完成させた訳である。

 NECが製造しLUXが販売した。当時,国内真空管メーカは真空管製造から撤退しJIS/CES登録は有名無実と化していたこと,またLUXは製品の海外輸出(主として米国)を年頭に置いていたことなどから,米国EIA名のような名称が付けられた。JIS/CES名であれば6G-A11となっていたはずだが,8045Gという名前がEIA名かどうかは定かでない。

(その後)

開発が余りにも遅かったこと,LUXは自社で消費する以外の一般需要に対してLUXの代理店を通じての販売だけに終始したことなどから,生産量は僅かで価格も高くほとんど普及せずに終わった。今日でも一般にストックされているものが僅かに入手できるが高価である。また,米国ではLUX製品の保守用にユーゴスラビアで8045Gのコンパチ管を生産させたそうである。日本でもこのコンパチ管が本家の半額程度で流通している。

マニア向けにベースはメタル・シェル付きオクタル(GT)になっている辺りは松下のアマチュア無線用S2003を思い出す。その後1978年頃にはNECは真空管製造を終結していること,また販売数も限られていたので,製造は数年間,製造量もLUXが発注した数万本,に限定されると思われる。

サンプル

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